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2008年04月30日
…【明朝体デザインの「キモ」とは】
明朝体デザインの今後(1)
書体にはそれぞれの様式がある。それによって書体としての特徴が浮き彫りにされる。様式から逸脱したデザインは,アイキャッチャーとしては存在し得ても,正統的書体としては落第と言われかねない。
しかし,それにもかかわらず書体の分類は一意には定まらないことが多い。それだけ末広がりになっているとも言える。ただ,そうした中でも明朝体だけは別格だ。なぜなら明朝体は日本における規範書体だからである。ここで言う規範,すなわち則るべき規則とは,この文字はこの字形を正しいこととする,という宣言でもある。したがってあまりに自由闊達な表現がなされると規範書体とは言えなくなるのである。
明朝体のよいところは可読性に優れているということだが,しかしこれも絶対とは言えなくなった。紙に印刷する以外の用い方が多くなったからである。現今ディスプレイの表示用としては明朝体はかならずしも適していない。また,横組適正も優れているとは言い難い。他に新しい本文用書体が現れてもよいように思う。これがなかなか出てこないのは,明朝体にしがみついているデザイナーが多いからではないか。明朝体がしっかりデザインできるようになって一人前,という信仰がまだまだ存在している。しかも,それが古い活字デザインを志向しているのだから,現代の新しいメディアのことなど,あまり意に介さない風潮があってもおかしくないということだろう。
そうした中で,大日本印刷の秀英体開発室の「高精細ディスプレイ用文字フォントの開発」は注目に値する(『月刊ディスプレイ』2005.11)。ただ,このブログで再三強調している「文字の正確な構造表現」という点については,あまり力点が置かれていないように思われるのが残念だ。あくまでも可読性追求に徹しているからであろうか。しかし秀英明朝が漢和辞典の見出し字に使われていることを考えると,厳密な意味での規範書体特性を満足してもらいたいと思う。
posted by gen : 2008年04月30日 20:46