« 正しい漢字の表現(1) | Main | 正しい漢字の表現(3) »
2008年03月23日
…【明朝体デザインの「キモ」とは】
正しい漢字の表現(2)
明朝体デザインの構造を三階層に分けて考えたい。
ベースが「正確な字形構造表現」,その上にたって「可読性・視認性の確保」,そして最後に「美的バランスの追求」である。それを説明するための簡単な図を下に示す。

美しいことは良いことだ。しかしそれだけでは文字としての価値はない。正しい伝え方ができなければ何にもならない。とくに漢字は意味が通ればよいというものではないだけに「伝えるもの」が何なのかをしっかり認識しておかねばならない。字体が違えば伝わり方が違うということは「ツチヨシ」か「サムライヨシ」か,部分字形「カタナ」か「チカラ」か,などの例を挙げれば理解できよう。
しかし「正確な字形構造表現」は,そのようなレベルに留まらない。たとえば画数などの属性をどのように表現するかも大切な要素である。どんな字形要素がどのように配置されているのかも明確に表現できていなければならない。むしろそのような属性の正確な表現によって字体が確定すると言っても過言ではない。
しかしそこに立ちはだかるのが明朝体様式という表現の制約である。画数に関しても「見かけ画数」という表現様式があり,どんなに気を使っても完璧な表現は不可能である。そうした制約の中で,できるかぎりの正確なデザインを心がけるのが文字デザイナに課せられた責任であるが,それに対して必ずしも意を用いず,単にグラフィックデザインとしての完成度だけを追求しているデザイナが多い。日本の文字デザインに対する大きな課題である。
いずれにせよ「正確な字形構造表現」を棚上げして,単に「美しさ」を求めるのは砂上の楼閣をつくるに等しい。なぜなら,それは土台のない家を立派な内装で恰好だけつけることに近いからである。
posted by gen : 2008年03月23日 18:13