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2008年01月17日 …【表外漢字字体表の「字形問題」】

その2:「久」の字形

次は部分字形「久」である。
表外漢字字体表では,平成明朝体本来の字形をいくつか変えているが,部分字形「久」もその一つである。次図は,上が本来の平成明朝,下が修正の上で表外漢字表例字字形として採用された文字字形である。部分字形「久」の3画目起筆位置が下がっていることがわかる。

「久」を部分字形に持つ表外漢字.JPG
この差は字体差ではなく,単なるデザイン差である。それにも関わらず「あえて」手を入れて変更したわけだが,その理由は何であろうか。常用漢字表の「久」は3画目起筆位置が下がっているが,これが理由とは考えにくい。
実は表外漢字には「久」を部分字形に持つ文字にはもう一字あるのだが,これは本来の平成明朝も3画目起筆位置が下がっているので変更していない。このことは平成書体にもユレがあることの証しともとれるが,これは「柩」で,変更対象の2字が冠に使われているのに対して,この文字は旁に使われており,これだけを見る限りユレとは言えない。
たとえば「人」をみてみよう。全字形の「人」や冠に来る場合の「人」は2画目の起筆は1画目起筆位置と同じデザインがほとんどである。しかし偏旁に来る場合は2画目起筆位置は下がる場合が多い。これと同じ思想と言えなくもないのである。
次に示す「久」は,左からヒラギノ,平成明朝,リューミン,MS明朝である。MS明朝は微妙だが,平成明朝,リューミンは上から,ヒラギノは少し下がったところからの起筆である。前述のように,これらの差はデザイン差であって,書体によってこのような差が生じるのは自然の成り行きである。
「久」4書体.JPG
ところが,そのような解釈に水を差す現実もある。次図は戸籍統一文字と住基統一文字から採ったものである。
戸籍・住基の「久」.JPG
戸籍統一文字は右の字形で,戸籍統一文字番号001460であるが,この文字は住基コードC0E1でもある。一方,左の文字は住基コード4E45である。つまり住民基本台帳上では,これらを有意な差として別コードを振っているわけである。書体が違えば違う字形を別ものとしてしまっている。しかも表外漢字字体表の部分字形「久」を恣意的に変更したことは,さらにこの差はこだわらなければならないという,間違った解釈を生み出すことにつながる虞がある。新たな混乱の元をつくってしまったということである。
ちなみに,表外漢字字体表で変更された「粂」も「灸」も,住民基本台帳ネットワーク文字では2種類とも存在する。混乱は根深いのである。

posted by gen : 2008年01月17日 22:46

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