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2008年01月01日
…【表外漢字字体表の「字形問題」】
ふたたび「非」の字形問題
新年明けましておめでとうございます。
今回で78回目を数えます,いよいよ明朝体考現学の話題も佳境に入っていきますので,本年もよろしくお付き合いください。
さて,
すでに「非」の字形について二回ほど取り上げた。いわゆる4画目の「出る・出ない」問題である。この差がデザイン差であることは常用漢字表の解説にも明記されている。

そして,表外漢字字体表の「参考」の中の「表外漢字における字体の違いとデザインの違い」で,常用漢字表のこの箇所を再掲した上で「表外漢字における該当例」で,“誹”を例に挙げ,4画目の「出る・出ない」はデザイン差であるとしている。
つまり常用漢字であろうと表外字であろうと,この差はデザイン差だと明確に規定しているのである。
デザイン差というのは,たとえば書体が変われば揺れるものだということである。同じ明朝体であってもA明朝体は「出している」が,B明朝体が「出さない」ということはあり得る。しかしその差はデザイン差であるからは同じ文字と看做して差し支えない。
それでは,このように敢えて本来の平成明朝体デザインを変えて採用した文字はないだろうか。それが,けっこうあるのである。
- 廴(えんにょう)の筆押さえが取られた。
- 「久」の3画目起筆位置がわずかに下げられた。
- 部分字形「盾」のやや右に倒れた3画目縦画を垂直に直された。
平成明朝体は,日本規格協会の「文字フォント開発・普及センター」で開発されたものである。これはコンペによって選ばれ,90年JISの例字字形として採用するために字形デザインの細部にわたってかなり詳細な検討がなされて完成されたものである。20年ほどの前のことである。
私は文字フォント開発・普及センター内で,最初にコンペWGに属し仕様を検討した。次いで字形WGで90年JISの字形仕様決定に携わった。そしていま,経済省のプロジェクトである「汎用電子情報交換環境整備プログラム」の文字グリフ委員会でデザイン統一基準づくりをしている。このプロジェクトでも平成明朝体で新規グリフを開発しているのである。
つまり,平成明朝体が生まれてからずっと何らかの形でこの書体に関わってきたので,少なくともこの書体のデザインコンセプトは熟知しているつもりである。
そういう立場から見ても,この表外漢字字体表の例字字形デザイン改訂は不思議なものといわざるを得ない。
この内容については,次回でさらに分析する。
posted by gen : 2008年01月01日 23:44