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2007年10月06日 …【漢和辞典の字形を「斬る」】

漢和辞典における漢字の画数属性

言うまでもなく漢和辞典を引くときには総画数を拠り所とすることも多い。中には部首が何なのかがわからない漢字があるからである。それは,部首に対する知識不足だけではなく,部首そのものが文字字形の実態に合っていない場合も多くなっていることにも関係する。さらに漢和辞典によって同じ文字の部首が異なるというものも珍しくない。したがって総画数を拠り所とすることは否定されるべきものではないのである。
しかし,それならば漢和辞典の画数属性はつねに正しいと言えるのだろうか。あるいは,漢字の字形表現は画数を正しく計数することができるようにデザインされているものなのであろうか。
後者については,このBLOGにおいても「敝の画数について」(2007年4月1日),「墨溜りの効用(1)~(4)」(2007年4月11日~5月19日)において具体的に述べた。そこでは文字のデザインによってはなかなか画数を計数することが難しいことを指摘したのだが,とくに漢和辞典のようなリファレンスにあっては,この種のこまかいところにも配慮していただきたいと常々思っている。
今回は漢和辞典における画数属性について,その実態を垣間見ることにしたい。あらかじめお断りしておくが,ここに例示するのは氷山の一角である。また,例として大漢和辞典を挙げたが,私が常用しているその他の漢和辞典においても問題が散見されることも申し添えておく。

大漢和番号30143.JPG
まず左の大漢和辞典の文字番号30143を見ていただきたい。部首は「至」であり,至の部分字形「土」の横画が1本増画した文字で,画数は7画である。しかし辞典本文の箇所では「至の二画」にはなっておらず,この箇所を見ただけでは総画数6画に見えてしまう。総画数索引では「至部の7画」となっており実害はないのだが,ややわかりにくいといえよう。ちなみに脚部が「主」に似ているが,もし主であればこの部分だけで5画を数えることになる。


大漢和番号263.JPG
つぎに示すのは大漢和263である。かなり特殊な字形で,運筆も想像し難いが,この文字は部首「二」の4画だという。ということは上下の二つの横画以外の部分が4画,したがって総画数は6画ということになる。さて,どう書いたら6画になるのであろうか。


大漢和番号1121.JPG
つぎは大漢和1121(左図)。この文字の部首は「人」で,総画数は14画とされる。ニンベンを除いた旁の部分が12画ということなのだが,どう考えても11画である。

大漢和番号5491.JPG
つぎは大漢和5491を示す(右図)。これもまた,あまり馴染みのない文字字形であるが,中央の幵と土の構造を読み取るのは容易い。問題は上部である。
大漢和辞典によれば,この文字は部首「土」の12画,すなわち総画数15画とされる。したがって,よくわからない上部の画数は幵と土の合計画数9画を差し引いて6画ということになる。しかし明朝体の様式からは,どんなに少なくとも7画を必要とする。総画数15画はありえない。
大漢和番号16708.JPG
それではつぎの文字を見ていただきたい(左図)。
大漢和16708だが,複雑なように見えても構成要素は「弓+工+工+羽+羽+殳」であり,比較的理解しやすい。大漢和辞典によれば,この文字の総画数は20画(殳部の16画)となっている。しかし「弓+工+工+羽+羽+殳」の総画数を数えると19画になってしまう。あきらかに1画違うのである。あえて20画にしようとすれば「弓」に見える部品を弓ではないと判断して,ここを4画に数える以外ないのだが,この文字の今昔文字鏡の総画数属性は19画となっているから,大漢和が違うとみて間違いあるまい。

posted by gen : 2007年10月06日 20:57

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