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2007年10月11日 …【漢和辞典の字形を「斬る」】

字形表現と画数属性

漢字の画数を数えるためには運筆がわからなければならない。しかし教育漢字以外は筆順や運筆は公式には決められていないので推測するしかない。もっとも,しっかりした明朝体様式に則ってさえいれば多くの漢字の運筆はおおよそ推測できるのだが,漢和辞典のなかには論理的に推定することができない文字もある。

大漢和文字番号16274の文字.jpg
左の文字を見ていただきたい。大漢和の文字番号16274である。この文字は,最上部の横画から転折して縦画を形成するまでを1画と推測するのが「常識」だろう。なぜなら,転折部は明らかに「角ウロコ」だからである。ところが,この文字の総画数は8画だという。そうであれば帰納法的に,この部分は2画に数えなければならないことになる。
この文字は右に示す大漢和文字番号16324の本字だそうである。
大漢和文字番号16324の文字.jpg
そこから推測すると,冠部は「刃」が直線的に変形したもののように思われる。しかし,もしそうなら3画のはずだ。
実際の大漢和16274の字形から冠部が4画であることを推定することは難しい。
今昔文字鏡073255及び073271の文字字形.JPG
文字鏡073255(文字要素とされる)はこの文字の冠部と同形で,この画数属性は3画であるから,これなら納得できる。
ところで,この字形を上下逆さまにした文字がある。文字鏡073271である。文字鏡では,この文字の読み等については示していないが,部首は「止」,画数は3画とされている。
実は,大漢和16274の冠部は,まさに「止」の上下を逆さまにした字形なのである。大漢和辞典の文字番号16324の[解字]では,
止を四つ組み合わせた文字。二つの止を反倒し,相衝突せしめ,止(とどまる)の義から,物のしぶって滑らかでない義をあらはす。
と記している。ちなみに段玉裁の「説文解字注」にも不滑也从四止と記されている。
「止」が4画なのだからひっくり返しても4画には違いないという判断だったのかもしれないが,それならそれにふさわしい明朝体デザインにすべきだろう。

posted by gen : 2007年10月11日 20:59

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