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2007年09月25日 …【漢和辞典の字形を「斬る」】

見掛け2画表現について

さらに重箱の隅をつつくようだが,明朝体様式のひとつである「見掛け2画」に関してみてみたい。
見掛け2画でよく例に出されるのが「衣」である。この4画目が2ストロークに見える。これが見掛け2画と呼ばれているものである。
漢字には「形・音・義」の3要素を持ち,さらに形(すなわち字形)には部首とともに画数という属性がある。字形がきわめて似ていても画数が違う文字はたくさんあり,また,漢和辞典を引く際にも画数を拠りどころとすることが多いので,漢字の画数というのは日常生活の場でも非常に重要な属性情報である。
この観点からは,上述の「見掛け2画」はややこしい問題を引き起こす。これと同じ問題が,いわゆる「ゲタ」の存在にもみられることは「臣」の字形分析を例に,すでにこのBLOGで論じている。
さて,まずつぎの図を見ていただきたい。
漢和辞典3種の字形.JPG
これは同じ漢字を三つの漢和辞典から採って表示したもので,左から大漢和,新大字典,大字源であるが,旁のつくり方(シャレのつもりではありません)は三者三様である。この旁は2画に数えるのであるが,この1画目は,大漢和ではゲタ型の「見掛け2画」,新大字典では衣型の「見掛け2画」にデザインしているのに対して,大字源は素直に1画のストロークにつくっている(例によってゲタ型,衣型などという呼称は勝手につけたものである)。
問題は二つある。大漢和では折った後の横画にウロコをつけているが,このデザインは馴染みのないものである。1ストロークの字形として異形と言わざるを得ない。明朝体様式に則った「見掛け2画」を採用しているようにみえながら構造的にオカシイ。
もうひとつは大字源である。この表現も明朝体様式にはないものである。混乱を招くのを避けるために「見掛け2画」の表現はしない,という「新」明朝体の提言があってもよいかもしれないが,大字源の親字がすべてこの思想に立脚しているわけではなく,きわめて少数の文字だけが明朝体様式に沿っていない。そこが問題である。

大字源8425.JPG
たとえば,つぎの文字(大字源8425)はあるべきゲタがない。くどいようであるが,この字形は明朝体様式にはないものである。しかもこの文字の旁の画数は9画であるから,問題の「ゲタがない」2箇所は見掛け2画ではなく,したがってこのようなデザインを採用する必然性はない。つまり,この表現によって画数問題がクリアにならないばかりか,かえって有意差があるのではないかという余分な疑問を抱かせる原因をつくってしまう。その意味で混乱を助長しかねないし,持論である「余計なバリエーションをつくらない」という思想からも懸念を持たざるを得ない。

posted by gen : 2007年09月25日 20:29

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