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2007年09月10日 …【漢和辞典の字形を「斬る」】

不思議なカクシガマエ(補足)

前回,クニガマエとカクシガマエの中間のようなカマエについて述べた。その形状は一般的な明朝体様式からは外れており,これを「ウロコ付きカクシガマエ」と呼んで,ややもすれば字形解釈上の混乱を招く虞があることを指摘した。
しかし,この独特ともいえるカマエの実際の形状が,説明用の図の表現力の問題でよくわからないものとなっていたようであった。そこで,この字形について補足することにした。
カマエ3種.JPG
上図を見ていていただければ一目瞭然であろう。左は通常の「クニガマエ」,つぎは,これも通常の「カクシガマエ」だが,問題は右のカマエだ。この形のカマエは他の辞典には現れないものである(現存するすべての漢和辞典に当ったわけではないが)。辞典による解釈の差はあるものの,クニガマエとカクシガマエの位置付けは部首としてもはっきりしている。しかし右のカマエは様式から逸脱しているだけに困るのである。

前回は検字番号4355の文字字形を例に挙げたが,この字形の詳細は判読しにくかったので右図に拡大した字形を掲げる。しかし,実はこれでもほんとうに「ウロコ付きカクシガマエ」なのかどうか,厳密に言えば判然としないとも言えるかもしれない。ただ,クニガマエ風のゲタがないことだけは確かだ。
そこでもう一例挙げよう。
これは検字番号10448である。「医」が部分字形になっているのだが,このカマエは明らかに「ウロコ付きカクシガマエ」風である。つまり『大字源』にはこれら3種のカマエが混在しており,しかもその必然性が読み取れないということである。漢和辞典の親字としての性格上,このユレは字形デザインの恣意性の範囲とは言えないと考える。

posted by gen : 2007年09月10日 21:03

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Comments

わかりやすい例があげられていますので、こちらでつづけます。
クニガマエとカクシガマエを(あくまで明朝体のデザインとして)
 1.一画目と二画目のつながり具合(「型かT型か)
 2.二画目のまがり具合(直線折り曲げ型か曲線折り曲げ型か)
 3.二画目のウロコの有無
によって区別すべきだ、というのが Gen さんの主張だと理解しております。

カクシガマエは康煕字典では(清代の版木職人の彫り方/デザインといった方がよいか)、T型かつ直線折り曲げ型かつウロコ有となっています。
ただし字によっては二画目のまがり具合のところで、下にでっぱるかどうかで区別したいのじゃあるまいか、というようなものもありますが、多くは私にはちがいがわかりません。

posted by 和田 徹 : 2007年09月11日 10:10

『康煕字典』がいまだに金科玉条のように扱われているというわりには,康煕字典のカクシガマエの字形は現在標準的に用いられているものとはかなりイメージが違います。そこを今回,わかりやすくご指摘いただいたわけで,ありがとうございました。
振り返ってみますと,このポイントについてはたしかに説明不足の感が否めませんので,次々回ぐらいに再整理しておきたいと思います。

posted by GEN : 2007年09月11日 18:37

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