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2007年08月19日
…【漢和辞典の字形を「斬る」】
漢和辞典の文字字形は正しいか
辞書は,あることがらについて知るために利用する。この時点ですでに,その辞書に満幅の信頼を置いている。そうでなければ,その辞書を手にすることはないだろう。しかしほんとうに辞書はその信頼に応えることができると確約できるのであろうか。
私は『広辞苑の嘘』(矢沢永一・渡部昇一著 光文社 2001)が出版されたとき,かなりショックを受けた。『広辞苑』に嘘など存在するなどとは思いもしなかったからである。小学校に入る前の私の遊び場所は岩波書店の食堂だったし,父は広辞苑を出すために岩波の熱海の別荘に篭り,帰宅後も永らく深夜まで校正を行っていた。私はそんな父の背中を見て過ごしたものである。このような環境に育った私にとって広辞苑に嘘などあろうはずはなく,国語表記におけるすべての規範が広辞苑であった。
しかし『広辞苑の嘘』の登場である。とくに渡部昇一氏の論述には多くの共感できるものを持っていただけに衝撃だった。
その後,2005年には『こんな国語辞典は使えない』(夏木広介著 洋泉社)が出る。そしてここでは,
・岩波 国語辞典
・小学館 新選国語辞典
・三省堂 ハイブリッド新辞林
・小学館 大辞泉
とともに広辞苑が槍玉に上がった。
辞典は参照するためにあるのだが「完全」などはありえない。辞典と言えどもひとつの思想体系だからである。それでは漢和辞典はどうか。同じだ。しかし漢和辞典の問題に関しては意外に批判が少ない。むしろ不思議と言うべきではないか。
次回から数回にわたって漢和辞典の字形に関する「?」を述べる。漢和辞典の見出し文字は,文字通り一点一画の微細な形にも規範を求められる。それにしては,やや明朝体様式を逸脱した字形デザインも見られるように思う。ここではこれらの文字の中からいくつかを取り上げることとしたい。
しかし,もとより私は漢和辞典を評論するだけの知識を持ち合わせているわけではなく,文字デザイン監修を生業とする身として単に疑問を呈するだけであることをあらかじめお断りする。
posted by gen : 2007年08月19日 21:03