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2006年10月27日
…【最近の話題】
文字・活字文化の日に考える
「文字・活字文化振興法」について
今日は「文字・活字文化の日」である。これは平成17年7月29日に「文字・活字文化振興法」が公布・施行され,10月27日,すなわち本日が「文字・活字文化の日」として制定されたことによるものである。
平成17年版文部科学白書の第2部第9章第1節から,この法の制定趣旨を抜粋しておくと,
平成17年7月に,議員立法として「文字・活字文化振興法」が成立,公布・施行されました。この法律は,文字・活字文化の振興に関し,基本理念を定め,国や地方公共団体の責務を明らかにするとともに,地域における文字・活字文化の振興や,学校教育における言語力の涵養,10月27日を「文字・活字文化の日」とすることなどを定めることにより,我が国における文字・活字文化の振興に関する施策の総合的な推進を図り,知的で心豊かな国民生活及び活力ある社会の実現に寄与することを目的としています。
これを受けて,文部科学省においては,図書館の充実,読書活動の推進,学校図書館の充実等の施策の一層の推進などの「文字・活字文化」の普及・啓発に取り組んでいくこととしています。
と謳われている(詳細は文部科学省HP参照)。
地域や学校での,こうした文化を享受できる環境を整備していこうというのはたいへん結構なことである。小さいころからさまざまな本をできるだけ多く読み,自分でも文章を書くという行為を通じてしか,自分の思想を磨き,そしてそれを表現する力はつかない。現在の義務教育では,そのための時間をたっぷりとっているようには見えず改革を望んでいただけに,この法の実りある成果を期待したいところである。
この法の第二条で「文字・活字文化」を,活字その他の文字を用いて表現されたもの(以下この条において「文章」という。)を読み,及び書くことを中心として行われる精神的な活動,出版活動その他の文章を人に提供するための活動並びに出版物その他のこれらの活動の文化的所産をいう,と定義している。したがって,「文字」と「活字」は,前者は書く対象,後者は読む対象の字を指すと考えられる。
ここでたいへん興味深く思ったことは,「活字」という言葉である。出版・印刷業界で言う「活字」は,死語とまでは言わないものの,大方はすでに過去のものとして受け止めている。それが法律の名称として使われていることを面白く感じるのである。
もっとも,この法律の制定に関係したのが「活字文化議員連盟」(子どもの読書活動の推進や,活字文化の振興・普及を目指す超党派の議員組織)であったから,「活字」という文字を冠することには違和感もなかったであろう。さらに読売新聞社の「21世紀活字文化プロジェクト」など活字という言葉を冠した組織はいくつもある。一般にも「活字離れ」などという言葉は,ごく普通に用いられている。つまり「活字」という言葉は生きているのである。まぁ,「レコード産業」とか「ブラウン管に登場」といった表現と同じということと同じ用い方といってよいであろう……と本当に言えるであろうか。
実は,これらとはちょっと違うようにも思われる。少し「活字」について考ええてみよう。
あらためて「活字」について
一般用語としての「活字」の定義をみておきたい(以前,「活字体」については少し触れたことがあるが)。
広辞苑では,
活版印刷に用いる字型。繰り返し使用するところから、活きている字の意。(以下略)
とある。
Wikipediaでは,
活字(かつじ)とは、狭義には、活版印刷の際に文字の図形を対象(特に紙)に印字するもので、木や金属に字形を刻み、それにインクをつけて何度も印刷できるようにしたものを言う。としている。死語に近いといった意味は,広辞苑の定義やWikipediaの「狭義」の定義である
フォントメーカーのモトヤのサイト「活字資料館」の
平成8(1996)年7月31日,創業以来75年間にわたって共に喜び,共に苦しんできた「活字」との別れの日を迎えた。も狭義の活字を指している。
Wikipediaでの前記の定義の次に,
また、単に印刷物にすることを「活字にする」とも言うように、印刷やコンピュータ画面で文字を同じ字形で繰り返し表示するものをも指していう。
と述べられているが,この定義はやや中途半端で,「活字文化」,「活字離れ」の用例よりも狭い感じがする。
活字という語は,広辞苑にあるように一度文章を組んで本にした後,それをばらして別の組版を行うために再度それを活かすことができる,というところから命名されたものである。
そうであれば,昔の鉛活字の終焉で活字という言葉も終わりを告げたのではなく,現在のデジタルフォントは活字以上に「活きた」使い方ができるわけであるから,フォントを活字と呼んでも問題はないはずである。
私は今まで,このBLOGでは活字という語をそのような意味では使わず,「印刷用の文字」というような,持って回った言い方をしてきたが,今日の「文字・活字文化の日」を契機に,デジタルフォントについても適宜,活字という表現を使っていこうと思う。
posted by gen : 2006年10月27日 21:11
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