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2006年09月14日
…【最近の話題】
朝日新聞,文字を変える(2)
文字を拡大してみる
朝日新聞が文字を太めた効果についてNORIさんからコメントいただいた。詳細はコメントを読んでいただくとして,たいへん示唆に富んだものである。そこで,これを受けて今回も朝日新聞の文字変更について,続編として少しだけ書かせていただく。「閑話休題」が続くことをお許しいただきたい。
どの程度を太めたのかについての定量的測定は行っていないが,次図に拡大した文字を載せる。これは前回の「変更前後」の紙面を2400dpiで再スキャンした結果の一部を切り出したもので,左の「日本 ない」は変更前,右の「日本 ない」と「書」は変更後の文字である。
これをみると,漢字については横画だけでなく,ハライ要素も垂直方向には同率で太めているようであるが,平仮名についてはほとんど太さの変化がない。右端の「書」は横画が8本で,常用漢字の中では多い方に属する文字であるが,この文字も同じ程度に横画が太められており,その結果,線間が従前の横画線幅より狭くなってしまった箇所も出てしまった。
12日付の「天声人語」には「書」という漢字が何箇所か出現し,この文字の黒味がちょっと強すぎるように思えたのであるが,それを裏付ける内容であった。前回にも述べたように,漢字の字種による濃度差がいままで以上に広がった感じである。
さらに,平仮名はほとんど変更していないので,漢字と仮名の濃度差もまた広がったわけである。
実は,いままでにタイポグラファーによっていろいろな試みがなされているのであるが,漢字よりいくぶん仮名の黒味を抑えた方が可読性がよいというのが通説となっている。実用的には仮名の字面を少し減じる手法を使うことの方が多いのであるが,新聞の本文書体では仮名の字面率も「めいっぱい」にデザインするので,濃度で制御するというのはテクニックとしては肯定できる。「読みやすい紙面」という主張は,こういう裏付けに基づくものなのかもしれない。
しかし今回の場合,その効果よりも,とくに画数の多い漢字がかえって「ぼってり」した感じになってしまい,同紙の説明にある「くっきりした文字で」という主張とは異なった結果になった。もちろん,あくまでも個人的な感想であるが。
しかしもうひとつ,NORIさんが指摘されたとおり,ゴシック体との濃度差がほとんどなくなってしまったことも,いままでよりメリハリのない紙面にした原因のひとつになったように思う。
posted by gen : 2006年09月14日 21:54